アパート建築Q&A

アパートの建て替えかリフォームか、どちらを選ぶべきでしょうか?

アパートが古くなってくると、どうしても周りの新しい物件に太刀打ちできず、徐々に入居率が下がってしまいます。
そこでアパート経営者として入居率を上げるために、立て替えるか、リフォームするかという悩みが出てきます。
古くなったアパートは建て替え、リフォーム、どちらを選択すべきなのでしょうか?

アパートの築年数で考える

部屋を探している人には、やはり新しくて綺麗な物件の方が魅力を感じます。
立地など多少条件が合わなくても需要が見込めます。
しかし、アパートも築15年を過ぎてくると外観や内装も古くなってくるので、入居率が徐々に下がり始めます。
このため、築16年以上たったアパートの経営者は入居率を上げるために家賃を下げるか、古くなった備品を交換し、建物をリフォームするなどの経営努力が必要になってきます。

さらにアパートが古くなり築30年を超えてくると、建物の老朽化が進んでくるので入居率は一気に下がってしまいます。
築年数が30年以上になると建物の見た目だけの問題でなく、耐震性や耐火性に問題が生じたり、キッチン、バス、トイレといった水回りの設備が故障することも増えたりしてくるため、入居率を上げるために建物を全面的にリフォームするか、立て替えることも考えなければいけません。

このようなことから、アパートの築年数を目安に考ええると、築15年から30年ほどまでは建て替えよりもリフォーム中心、築30年以上になってくると建て替えも視野に入れて考える必要があります。

築年数がたっていても入居率がさほど下がっていないアパートとは?

法定耐用年数だと木造アパートなら22年、鉄筋造のアパートなら27年とされていますが、築30年のアパートでも建て替えせず、そのまま賃貸できているものも多くあります。
築30年たっていても入居率がさほど下がらずに経営できているという物件は、立地条件が良い物件か、築15年を超えた辺りから水回りを中心にある程度費用をかけてしっかりリフォームしテコ入れしている物件、アパートの間取りが今のニーズに合っている物件などです。
築年数だけでリフォームか建て替えかを単純に決めることはできませんが、古いアパートに手を加えずに入居率が下がらない物件はほぼありません

アパートの現状によってリフォームか建て替えかを考える

リフォームと建て替えでは、一般的に建て替えの方が費用もかかります。
このため、あまりコストをかけたくない経営者側は何とかリフォームで済ませたいと思うものですが、アパートの建物の状態によっては建て替えよりも、リフォームの方が多くの費用がかかってしまうことがあります。
たとえば、建物の構造上大がかりな耐震工事を必要としたり、シロアリで柱の耐久性に危険性があったりするようなアパートは、リフォームで修理するよりも立て替えて、全て新しいものにした方が長期的に考えると、リフォームよりも費用を抑えることになるかもしれません。
このため、アパートの現状をしっかりと見極めることができる専門家に相談して、立て替えとリフォームの場合の費用をある程度算出してもらった上で、比較することがとても大切です。

リフォームのメリット・デメリット

〇メリット

・建て替えよりも費用が安い
・予算に応じた工事内容にすることができる
・短期間でできる
・入居者を転居させる必要がない

〇デメリット

・古い建物に構造上の問題があるので、水回り、間取り、階段の位置など動かせないこともあり、自由度に制限がある
・リフォームの費用は建て替えより安いが、部分的には割高になってしまうこともある
・実際に工事を進めてみないと建物の現状が分からないこともあり、予定よりも予算がかさむケースがある

建て替えのメリット・デメリット

〇メリット

・耐火性、耐震性に優れた安心、安全な建物にすることができる
・外観も間取りも人気のものに自由に変えることができる
・新築物件になるので入居率が上がり収益が上がる

〇デメリット

・費用が多額になる
・入居者の立ち退きに費用がかかる

入居者の立ち退き問題

リフォームは部分的に工事ができます。このため、室内は入居者の入れ替え時に部屋ごとに行うことができますし、外壁や共同部分は入居者に多少の迷惑をかけることにはなりますが、賃貸しながら徐々に行うができます。
しかし、アパートの建て替えとなると、建物全体を取り壊して新たに建物を建てるので、入居者がいると工事をすることができません。
このため、アパートを立て替える場合は、入居している方に退去をお願いする立ち退き請求を行うことになります。
立ち退きは賃貸契約期間満了の6か月前までに行い、引っ越し代などを含めた立ち退き料を支払う必要があります。
入居者は自分の意思に関係なく立ち退きを要求されるので、入居者とオーナーの間でトラブルに発展してしまう可能性もあります。
このため、弁護士に間に入ってもらい、スムーズに入居者が立ち退いてもらえるよう対処する必要があります。